COLUMNコラム

『よみがえる空-RESCUE WINGS-』BD-BOX発売記念トークイベント@阿佐ヶ谷ロフトA イベントレポート

人命救助に命を懸ける熱き男たちのドラマと、リアルな描写で航空マニアの強い支持を得たレスキューアニメの決定版『よみがえる空-RESCUE WINGS-』。そんな本作のBD-BOX発売記念トークイベントが、3連休の初日にあたる2018年7月14日(土)、阿佐ヶ谷ロフトAにて開催された。また、当日は21時までニコ生の配信も実施。本レポートでは、ニコ生と同様に21時までの模様をお届けする。なお、21時以降のトーク内容も含めたイベントのダイジェスト版が、11月22日(木)発売の『よみがえる空-RESCUE WINGS- BD-BOX』に映像特典として収録されているので、ぜひチェックして頂きたい。

<第一部:アニメスタッフによるトークショー>

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本イベントの進行を務めるのは杉山潔プロデューサーで、ゲストは松倉友二プロデューサー、サンジゲン代表取締役の松浦裕暁さんとCGクリエイターの河野達也さん、プロモデラーの二宮茂幸さん。当時を振り返った松倉プロデューサーは「アニメ史に残るすごくいいものを作ったという自負がありました」とコメント。続いて、松浦さんは「SFの時は想像でモーション集を作ったりするんですけど、この作品ではそれが許されない。観ている皆さんがプロ並みなので、全くごまかせないです(笑)」と求められるクオリティの高さを冗談交じりに語った。また、企画書の段階では「史上初の女性救難隊員の成長物語」だったため、本当に何が描きたいのかを突き詰めた結果、現在の形に落ち着いたという制作の裏話も飛び出した。

航空機の描写は、ローター・ブレードのブレや反り上がりなど細かなこだわりが多く、会場に集まった熱心なファンの方々はそのディープな話にも深く頷いていた。さらに、メイキング写真を交えながらの現地取材の貴重な体験談の数々は、笑いの多い和やかな雰囲気の中で語られていった。そして、ここからテーマは思い出深いエピソードに移っていく。二宮さんは「海上に落ちたイーグルの乗員を救出する第7話」、松浦さんは「UH-60Jが雪の降る真っ暗闇を飛ぶ第11話」、河野さんは「UH-60Jがゴンドラをつり下げる第9話とリアルに描かれた計器パネル」、松倉プロデューサーは「ひょっこりひょうたん島の曲が流れる第6話と第7話」をセレクトし、各々の熱い想いが語られた。

最後は一言ずつメッセージを届けることに。二宮さんは「第6話と第7話はいつ観ても泣きます。この作品に関われて嬉しいです」。松浦さんは「プロの方も納得できるようなリアルな作品は作っていて楽しいし実感が湧いてきます。またぜひそういう作品を作っていきたいなと思っています」。河野さんは「最近は戦車ばかりやっているので(笑)、また飛びものもやりたいですね。こんな骨太な素晴らしい作品に関われたことに感謝しています」。松倉プロデューサーは「この作品で初めて自衛隊の中に救難部隊があることを知りました。命を救っている素晴らしい仕事をアニメで描くことができたのは自分の中でもすごく印象に残っています。30年40年経っても人に見せて恥ずかしくない仕事ができたんじゃないかなと思っています。ぜひ色んな人に観て頂きたいですし、こういうことをやっている人が今の日本にもちゃんといるんだぞと伝えたいですね」。最後は、杉山プロデューサーが「制作者の私たちから見てもすごい脚本だと思います。その第6話と第7話をぜひお楽しみください」と締め、第一部は終了。その後は第6話・第7話「Bright Side of Life(前・後編)」を上映。上映後は場内から大きな拍手が鳴り響き、トークイベントは第二部へ。

<第二部:救難関係者によるトークショー>

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司会は引き続き杉山プロデューサー、ゲストは元小松救難隊長の櫻田秀文さん、元U-125Aパイロットの藤原明治さん、元救難員の栗燒哲也さん、軍事評論家の岡部いさくさん、「航空ファン」編集次長の神野幸久さん。本作の印象を聞かれ、櫻田さんは「若者にメッセージを伝えている本当に素晴らしい作品です。題材はレスキューですけど、社会に出た若者が等しく陥る諸問題を実によく表しているなと思います」と絶賛。続いて、藤原さんは「私もパイロットを目指して航空自衛隊に入ったので、主人公の内田三尉の気持ちが分かります。いわゆるF転で私も救難に配置転換され、やっぱり最初は、自分は“戦闘機はダメなのか”という気持ちを抱えていました。ところが救難を続けていくうちにやりがいを見つけ、その任務の尊さを理解するようになり、最終的には救難が大好きになりました」と自身の経験を重ねた想いを言葉にした。栗燒さんは「実際には作品と若干違うところもあるんですが(笑)、12年前の作品とは思えないほどにリアリティがあります。救助される側の立場もしっかり描かれていて、何かの役に立つと思うので、もっと多くの人に観てもらいたいです」と激賞。救難活動経験者から褒められ続ける展開に杉山プロデューサーは照れながらも、「救難だけじゃなく、やりたかったのは仕事への向き合い方。仕事を一生懸命頑張っている人だからこそ分かるものがいっぱいあるんじゃないかなと思います」とまとめた。

杉山プロデューサーからゲストに向けて投げられた質問は多岐に及び、人を救うことについて藤原さんは「若い頃は気合いでやっていたんですけど、段々経験を積むにつれて、やるべきことを淡々とやればいいんだなという風に思えるようになりました。できることはできるけど、できないことはできない。できることをしっかりとやっていれば助けられる命は助けられる」と救難に対する考え方の変化を語った。テレビの報道について岡部さんは「ニュースで映し出される救出活動の映像の外側にこそ実は色々な出来事があるんですよね。ミッションプランニングや捜索などを経た最終的な段階として救助があります」と語った。

ここからは自衛隊に要請がかかって出動する災害派遣について説明を交えながらのトークに。1985年に発生した日本航空123便墜落事故について神野さんが「当時はGPSがなかったのもあるんですけど、ナイトビジョンゴーグルがなかったので夜間の捜索や救出が困難だったそうです」と解説すると、実際の救難活動にあたっていた栗燒さんが「私よりも詳しいですね(笑)」と驚く場面も見られた。さらにその後は、トークの柱が2011年に起こった東日本大震災に据えられ、松島救難隊や司令部の状況、当時の天候など、実際の写真をスクリーンで確認しながら専門的且つ貴重な体験談が次々と語られていった。聞き逃す暇など全くないほどに次から次へと語られていく話を聞き入るファンたちの表情も真剣そのもの。予定の1時間はあっという間に過ぎ、ニコ生で行われていた配信は21時を回ったため終了。しかし、盛り上がったトークは収まることを知らず、そこからさらに深い話へと進んでいった。そして、最後は第一部と同じく登壇したゲストが一言ずつメッセージを届けていき、杉山プロデューサーが「喋り足りない部分がまだまだありました。またこんな機会を作りたいなと思っていますので、その節はまたよろしくお願い致します」と締め、イベントは幕を閉じた。

写真写真前列右から、櫻田秀文さん、藤原明治さん、栗燒哲也さん、岡部いさくさん、神野幸久さん
後列右から、河野達也さん、二宮茂幸さん、杉山潔プロデューサー